手作りリュックについて

 

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保育園でリュックを使い出して、もう30年くらいになります。
当時、高度経済成長といわれた時代は大人の生活を変えただけでなく、子どもたちの身体にもいろいろな影響を与えていました。公害は小児喘息やアトピーを増加させ、朝から生あくび、「しんどい」を連発させる夜型の子ども、噛めない、よく転ぶ子、転んでも手が出ず顔面を打つ・・・マスコミでいわれていた子どもの姿が北田辺保育園でも見かけられ出しました。生活リズムの見なおしや鍛錬が言われだした頃です。
特に小・中学生では、一方の肩が下がっている、背骨が湾曲している側湾症の問題も大きく取り上げられていました。「子どもたちの身体が危ない!」・・・職員会議でもよく話題になっていました。
同じ頃、他園で見た子どもたちの姿・・・保護者の手づくりリュックに、1日分の荷物を入れ両手を振って走って登園する子、夕方はその汚れ物をつめて背負い保護者と帰って行く・・・園長はとても感動した様子で報告しました。当時北田辺っ子は肩かけカバンにカードや箸箱を入れ,着替えは手さげに入れていました。年齢の低い子では、保護者が荷物を持つことも多かったように思います。
リュックにして、「両手をあけ背中を真っすぐにして、両手をしっかり振って歩くようにしよう。」「自分の荷物は、自分で背負って登降園しよう。」ということのなり、(初めは3歳児のしろ組まで、後に2歳児のき組も実施)保護者にその趣旨を伝えました。
当時はリュックといえば小中学生が遠足に使う程度、形も大きく、止め金も保育園の子どもたちには操作しにくい物でした。値段も張りました。さっそく裁縫の得意な保護者が見本を作り、型紙の配布もしました。みんながさっそく作っていく中で、年齢の小さいうちは口はゆるめのゴムにしたらいいのでは、4歳ぐらいでは蝶々結びのけいこができるようにした方がいいね、ふたはマジックテープよりボタンにして毎日しっかりと、ボタンかけの練習ができるように、ロッカーのフックに掛けやすいように布の輪をつけて、ポケットはカードが入る大きさに・・・と長い間をかけて、子どもの発達と合わせた知恵や工夫が引き継がれていったのです。
手作りについては、今は市販でも形でも素材も豊富でことさら手作りの必要性はないかも知れません。共働きの忙しさもわかります。でも子育てはやっぱり手間ひまかけることも大切であり、必要なことでもあるのではないかと考えます。特に子どもの育ちの節目には心を配り、親子で心に残る育ち合いをしたいものです。そうゆう意味では、あか組からき組に進級する時のリュックは「大きくなったから自分で背負ってくる!」それは幼児の仲間入りをする、生活も大きく変わる心ふくらむ時です。「お母さんが縫ってくれた」という嬉しい思いを感じさせて欲しいと思います。
出来ばえがあまり良くなくても、保護者が作ってくれたリュックは子どもに取っては大切なリュックだと思います。

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社会福祉法人 創の会

北田辺保育園

TEL06-6713-0915